2020年、大きく働き方を考えさせられる年になりました。
新型コロナウイルス感染症によって、在宅ワークやこれまでの就業規則の見直しを半強制的にすることになってくるとは去年は思ってもみなかったと思います。
時期としても大学生の就活生や企業の新入社員の受け入れ時期と重なったことから、採用の仕事をされている方の多くはかなり大変だったと容易に想像できます。
そんな中、コロナ後の新卒採用、中途採用がどのように変化するのか?
採用担当者の方が気になっていることではないでしょうか。一部の専門家の中では「コロナの業績悪化で、再び就職氷河期の時代が来る」と言われています。
参考:採用のプロが大予測「コロナ不況で、再び就職氷河期がやってくるのか」(PRESIDENT WOMAN)
ちょうど先日、エステティックサロンの採用サイトを公開したので、今回は採用サイトの必要性について話をしていきたいと思います。
「採用サイトって必要なの?」
Webの仕事してると経営者、人事・総務担当の方から「採用サイトって必要なの?」って聞かれます。
弊社でも企業の採用サイトを作ってるので、「今の時代、採用サイトは作っておいた方がいいですよ。」とプッシュして営業したいところですが、本音のところはそうでなかったりします。
採用サイトを作るだけで求人媒体を使わずに、直接エントリーが増えることを期待している方が多いのですが、99.9%の企業が作った「だけ」。これでは直接エントリーは増えません。
実際はこれが本音です。
なぜ直接エントリーが増えないのか?
そもそも自然検索からの流入ではエントリーは期待できない
知名度のあるナショナルクライアントであれば、「会社名+採用」の検索キーワードで集客できるかもしれませんが、中小企業ではまず会社名で調べられることはないのは明らかです。
また、「飲食 採用」というように、「業種+採用」の検索キーワードなども検索回数があって上位表示できても月に1,2件あるか無いかです。
小規模事業者であればこれでいいのかもしれませんが、年間で数名~数十名必ず採用するような企業にとってはかなり少ないエントリー数になります。
個人が直接企業サイトからエントリーするというのは、少しばかり勇気がいる行為でもあるので、検索エンジンからの流入でエントリー者数を増やすことはそもそも期待しない方が良いと思います。
では、なぜ採用サイトを作る企業が増えているのか?
”自分の会社”を自由に表現することができる。
よく弊社に採用サイトの問い合わせがある時にお話を聞くのが…
求人媒体を辞めて、これからは自社の採用サイトだけで採用活動をしていきたいんです。
この考え方は基本的には間違っています。
求人媒体を辞めてしまったら、そもそも自社を知ってもらうことができなくなるので、自社の採用サイトを見るきっかけが作れません。
採用媒体は自分たちで表現できるコンテンツが少ないため、それを補完する役割を自社の採用サイトに担ってもらうのが一般的に言われている役割です。
そのおかげで、会社の風土、働いている社員の様子、企業文化に共感してもらいやすくなるので、求人媒体からのエントリー数が増えることがあります。
99.9%の企業が間違っている採用サイトの在り方
多くの企業の採用サイトが情報をただただ一方通行にしているというのが、私自身の印象です。
こういうサイトを見ると、「サイトはかっこいいけど、もったいないなぁ~」って思ってしまいます。
多くの採用担当者や経営者が採用サイトの制作で陥ってしまう間違いは、「自分の会社を魅力的に表現する」ことに注力してしまうことです。
「ん?、、、さっき言ってることと矛盾してない?」
と思われると思いますが、魅力的に表現することは必要です。
魅力的な社員を出し、会社の良さを「言わせた」インタビュー、ビジュアルが良い社員を使ってエモーショナルな写真を掲載して会社イメージを良くする。「他の会社とは違うよ」という印象を学生や転職者に感じてもらう。
多くのWEB制作会社や広告代理店は、こういう提案ばかりではないでしょうか。
実際問題、イメージばかりが先行している採用サイトってたくさんありますよね。
かっこいい先輩社員、かわいい先輩社員が満面の笑みで楽しく仕事をしている。。。。。
そういう採用サイトは凄く多いですよね。
私も予算が無くて、ただ採用サイトを作る時は、もう無難にそういうイメージで作っちゃうことも…。(たまにあります。。。ごめんなさい。。。)
そもそもの目的は、「エントリー数を増やすこと?」だった?
「エントリー数が伸びている感じがする!」
「エントリー者からも採用サイトが魅力的だったと言われてるよ!」
と採用担当者の方から言われれることもありますが、「それは良かったですね~作った甲斐がありましたね!」ってその場で取り繕うこともある私ですが、心の中では「そこが目的だったっけ?」って呟いています。
腹黒い?すいません。。(笑)
「人を採用すること」が一番の目的では?
採用担当者もサラリーマンですので、やはり会社に結果を報告する必要があるわけです。
「昨年対比でエントリー数が二桁伸長になりました!」
「おぉ、それは凄いな!採用サイトを作った甲斐があったな。」
「はい、来年はもっと採用サイトを活用してエントリー者が増えるように頑張ります!」
よくあるのが、採用サイトの目的が「エントリー者数の増加」に設定されることが多いです。
ただよく考えてみてください。採用担当者の方の仕事は、「人を採用する」ことですよね。
「エントリー者数が増えるのは悪いことではないのでは?」
確かにエントリー者数が増えることは悪くはないと思います。
それは希望としている人材がエントリーしてくれていることが前提です。
「このスキルだとそもそも難しい。」「志望動機がよく分からない。」という風に、エントリー者数が多くて、選考書類に目を通したり、選考の面接、連絡のやり取りなどに多くの時間を費やしてしまうことになったりしていませんでしょうか?
そうなると、仕事の効率や精度が落ちて、本当に必要なエントリー者とのコンタクトが希薄になってしまって内定を出したのに断られてしまうとなっては、本末転倒だと私は思います。
最初はエントリー者を増やしたいから対象範囲を広げてしまうのは御法度
私は、採用する側でもあるのですが、求人媒体から応募が少ない時に、応募を増やすために採用条件や必要なスキルの幅を少し緩めたところ、通常の倍の応募があった経験があります。
そこで分かったのが、その応募者の8割近くが書類選考で落とすレベルのスキルの持ち主でした。書類を見る時間、応募者に連絡する時間が落とした人にもかかるわけです。
その時間が応募者にとっても採用する側にとっても無駄であるということに気づいてからは、本当に採用できる人材の条件を明確に示すことだけに注力した採用活動を心掛けました。
採用サイトで大事な考えは、「採用」から逆算する
企業のイメージを伝えるという意味では、コーポレートサイトで十分だと思います。
それよりも自社がどのような人材が必要か?を考え、それに同調する求職者のエントリーを募ることを自社の採用サイトで実現した方がより効果的であると考えます。
つまりは、採用方法のユニーク化を図りコンテンツを作るのが、今の時代の新しい採用方法で、最近ではとってもユニークな採用活動をされる企業が増えてきました。実態ありきで、自分たちが本当に求める人物像からのエントリーを待つのではなく、自分たちが求めるスキルや経験、人物像をどういう方法で採用するのか?を逆算して考えた採用サイト作りが必要であると言えます。
そんな中でユニークな採用方法をしている企業の一部をご紹介します。
インフルエンサー採用(OWNDAYS)
SNSのフォロワー数が10,000人以上の方限定の採用枠を設置。投稿内容も含め確認して、履歴書や面接だけではわからないインフルエンサーとしてのSNS発信力やセンスを持った求職者を採用するのが目的で行っているようです。
野球採用(株式会社サンチャレンジ)
野球をやっていたこともあり、これは面白いなとは思ったユニークな採用方法です。野球という共通の趣味を持った人を集めてチームワークを重視した企業文化を作りたいという目的で行っているようです。
個性ある採用活動が、企業のブランディングに繋がる?
ほんの一部ですが、企業のユニーク採用を紹介しましたが、他にもユニークな採用活動をしている会社がありますので、ご自身で調べてみてください。じゃんけん採用、副業採用、U29採用とか、色々な角度で採用活動をしている企業がいます。
1000社に1社くらいの感覚ですが…ここ数年、たくさんの個性的な採用活動をしている企業が増えています。
個性的であればあるほど話題性にはなります。それ話題になって面白さが先行してメディアに取り上げられれば、広告費も浮くというわけです。企業のイメージ戦略、およびブランディングにもユニークな採用活動も繋がりそうです。
こういった個性的な表現は採用媒体では難しいので、自社の採用サイトで行っていくことが今後の採用サイトのトレンドの一つになっていくと思います。
自分たちが採用したい人物像を明確に細分化したうえで、プロモーション活動を行うことができれば、自社の採用サイトおよびインターネット上で自力で採用活動ができてくるわけです。
採用媒体を使うことなく、採用していくことを目指したいのであれば、まずは自分たちが本当に採用したい人物像を思い浮かべて、ユニークな採用活動をしていくのもいかがでしょうか。
そのうえで、その活動を表現する採用サイトを作成してみるのも、これからは必要になってくるかもしれません。